「超過死亡」についての記事

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日経が「コロナ感染死、把握漏れも 『超過死亡』200人以上か」という記事を書き、それに対してQuoraに「東京でも『超過死亡』は減少していた」という記事が出ていますが。

コロナ感染死、把握漏れも 「超過死亡」200人以上か
新型コロナウイルスの感染が拡大した2月中旬から3月までに肺炎などの死亡者が東京23区内で200人以上増えた可能性がある。同じ期間に感染確認された死亡数は都全体で計16人。PCR検査で感染を確認されていないケースが潜み、把握漏れの恐れがある。こうした「超過死亡」の分析に必要な政府月報の公表は2カ月遅れで、欧米の対応と差が...

東京でも「超過死亡」は減少していた – 新型コロナウイルス情報室 – Quora

このQuoraの記事は、簡単にまとめると日経の記事を批判しているのですが、

  • 感染研は、5月24日の新しいニュースとして「東京での死亡者数は近年よりも少ない」と発表している。
  • それを日経は、5月24日の新しいニュースとして「東京で超過死亡が発生している」と報道している。(5月25日の2:55時に更新までしている)

完全に矛盾しています。

Quoraの記事ではその前に感染研に掲載されたQ&Aを引用し、

Q.  2019-2020年シーズンは東京で超過死亡が発生しているように見えます。
A. このシステムでは、東京では過去3シーズンにわたって超過死亡を認めています。2019-2020年シーズンも東京で超過死亡が観察されていますが、「実際の死亡数」は過去3シーズン並みか、やや低い傾向にあります(図)。

と紹介しています。
「2019-2020年シーズンも東京で超過死亡が観察されていますが、『実際の死亡数』は過去3シーズン並みか、やや低い傾向」とあるように、「超過死亡」はあるとされています。
しかし、ここで言う「超過死亡」は「インフルエンザが流行しなかった場合と比較して」であり、「実際の(インフルエンザを含めた)死亡数」で過去3シーズンと比べれば同じかやや少ない、ということです。
おそらく日経の記者も、Quoraの記事を書いた人も(少なくとも4日の記事を書いた時点で)、感染研の言う「超過死亡」というのを「過去数年の実際の死亡者数の平均と比較して」と勘違いしていたのだろうと思います。
それをもって「矛盾」と言うのではなく、「解釈が違うのではないか」と考えることはできなかったのかな、と思います。
また、感染研が大々的に記者会見を開いたわけでもないでしょうし、ホームページを更新したのに気付かずに記事にしただけであって、最新の情報にアップデートされていないのを「矛盾」と言ってしまうのはどうかと思います。

私がこのスペースで「超過死亡」について取り上げ、Twitterでバズったのは5月4日です。そして、日経の上のグラフでは5月4日時点のデータを基にしたとあります。
あの日は、バズった勢いでくまなくネットを見てたのでわかりますが、この前後で「超過死亡」について言及していたのは私の記事と、それについてのコメントだけでした。つまり日経の記者さんも、確実にこの記事を目にしているはずです。
(中略)
このグラフは後日になってから過去のデータまで遡及的に変更が加えられるので、いつスナップショットを取ったかが重要です。状況証拠から、私の以前の記事をもとに日経の記事が書かれたと、かなりの確度で言えます。

まあ、見たかもしれないですよね。
でも、Quoraの以前の記事もフィナンシャル・タイムズの記事を基に書いています。
もしかしたら日経の記者もそのフィナンシャル・タイムズの記事を見たかもしれないのでは? そして、独自に感染研のホームページにたどり着いたという可能性もあるのでは?
僕が見た限りでは、5月4日の次に感染研のグラフが更新されたのは24日です。これがもっとこまめに更新されていたのに日経の記事ではなぜか5月4日のグラフを利用している、ということであれば「状況証拠」となる可能性もありますが。

しかし、私がもとの記事で伝えたかった主旨は「東京では超過死亡が見られるが、全体としては超過死亡はない」、つまり日本の防疫はうまくいっている、ということです。
それを、いまさら5月4日時点の東京のデータだけをチェリー・ピッキングして「200人の超過死亡があった」という記事にすることには、2重の意味で問題があります。

  • 感染研の「東京での死亡者数は近年よりも少なかった」という最新(5月24日)の発表を正しく伝えてないこと。
  • 21大都市全体でみれば超過死亡はなかったという私の元の記事の主旨を無視していること。

こういう切り取り方をされると、話題になるためにあえてセンセーショナルな取り上げ方をしていると思われても仕方がないと思いませんか?

参考にした記事があったとして、元の記事の主旨がどうであろうと、参考にしたのがデータだけであれば、その扱い方によって内容が変わることもあるでしょう。それとも、何か参考にした記事があったら、それと同じ主旨で書かなければいけないのでしょうか?
日経の記事は「2月中旬から3月までに肺炎などの死亡者が東京23区内で200人以上増えた可能性があるが、こうした『超過死亡』の分析に必要な政府月報の公表は2カ月遅れで、欧米の対応と差が出ている」というのが「主旨」だと思いますが。
感染研のデータが大幅に変わったのを確認したら内容をアップデートしてほしいな、とは思いますが。
ちなみに、日経の記事の中に

感染研は「集計は例年、インフルエンザの流行が終わる3月末の死亡日までが対象。入力期限の5月末以降でないと今シーズン全体の分析はできない」としている。

とあります。
感染研のデータを基に現時点でああだこうだ言っても仕方ないのではないかと思います。
ただ、感染研のQ&Aには

Q. 2019-2020年シーズンの傾向について教えてください。
A. 全国の対象都市の合計ではシーズン中の「実際の死亡者数」が「閾値」を超えることはなく、超過死亡は観察されませんでした。

とあるのですが、グラフを見ると21都市分のデータはそろっていないように見え、本当に「超過死亡は観察されませんでした」と言っていいのか疑問です。まだ「5月末以降」ではないですし。


出所:https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/2112-idsc/jinsoku/1847-flu-jinsoku-2.html

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