「医療クラスタ」の発言の疑問点 その5(尾身茂氏の発言について)

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「医療クラスタじゃないだろ」という突っ込みが入りそうですが、尾身氏の発言について。

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「リスクが低いところで、ほとんど感染者のいないポピュレーション(集団)を対象にやると、どんどんと偽陽性が増え、偽陰性が減っていく」(2020年7月)

無症状者を徹底的に検査すべきか、議論を。 始動した新型コロナ分科会、尾身会長が検査について語ったこと
新型インフルエンザ等対策有識者会議の下に新設された「新型コロナウイルス感染症対策分科会」。そこではどのような議論がなされたのか。尾身茂会長の口から語られたのは、政府に提言した検査体制拡充のための戦略と今後とるべき対策の3つのポイントだ。

PCR検査の感度(陽性を正しく陽性と判断する割合)は70%、特異度(陰性を正しく陰性と判断する割合)は99%とされている。単純計算で100人の検査を行った際には、30人の陽性者を見落とす可能性がある。

「リスクが低いところで、ほとんど感染者のいないポピュレーション(集団)を対象にやると、どんどんと偽陽性が増え、偽陰性が減っていく。これは感染症対策の常識なんです」

仮に1%の人が感染していると思われる1万人に対して検査を行った場合、99人が偽陽性と判定される。この99人は実際には陽性ではないにも関わらず、隔離措置をとられることになる。

また、30人は感染をしているが陰性と判定される可能性がある。この30人は安心して、知らず知らずのうちに感染を拡大する可能性がある。

今ではさすがに口にする人はいないであろう「特異度99%」。
尾身氏の発言ではありませんが、記事では特異度を「99%とされている」と紹介し、尾身氏の言葉として「どんどんと偽陽性が増え」るとしています。
実際に、事前確率の低い場合の検査で、「どんどんと偽陽性が増え」た例はあったのでしょうか?
尾身氏の言う「常識」は、それほど時間がたたないうちに変わってしまったのでしょうか?

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「偽陽性は検査前確率(事前確率)が低くなればなるほど、増えてくる」(2020年7月)

必要なのは、全ての無症状者への徹底的なPCR検査ではない。尾身会長「100%の安心は残念ながら、ない」
専門家のコンセンサスを得た結論として発表されたのは、無症状かつ事前確率(検査を受ける段階で予想される陽性率)が低い人に対するPCR検査を行政検査としては行わないという方針だ。


感染流行地域でのみ、全員に検査を行うべきという意見もあるが、尾身会長はそれも「現実的ではない」という。

東京都内では、新宿区の繁華街などで感染が拡大している。仮に新宿区民35万人全員に対して検査を行う場合、5日で行うならば1日7万件、東京都民1400万人を対象とすれば、1日280万件の検査が必要だ。

必要な検査員の数やコストだけでなく、偽陽性を含む陽性者への対応にかかる保健所や医療機関のコストを考慮した場合、必要な人材・物資・資金は膨大なものとなる。

1週間前の記事では「特異度99%」で計算していたのに、ここでは「99.9%」で計算しています。
また、PCR検査だけでなく、その後の対応も含めて「必要な人材・物資・資金は膨大なものとなる」と無症状で事前確率の低い人(濃厚接触者ではない人)に対しての検査は否定的ですね。

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「無症状者にPCR検査しても感染は抑えられない」(2020年10月)

「無症状者にPCR検査しても感染は抑えられない」と尾身氏
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏は10月14日、バイオ産業のイベントで基調講演を行った。PCR検査に関して強調したのは、「PCR検査を増やした結果、感染を抑えられたという証拠がない」という点だ。

 PCR検査に関して尾身氏が強調したのは、「PCR検査を増やした結果、感染を抑えられたという証拠がない」という点だ。まずPCR検査の性質として、感染3日後から約3週間は陽性が続くが、実際に感染性を有するのは感染3日目から12日間程度で、PCR検査で陽性が出る期間のうち感染性があるのは半分程度、つまり、誰にでも検査を行った場合、陽性者の約半分は感染性がないと考えられることを紹介した。

 その上で、「症状がある人が検査を受けられないという状況はあってはならない。有症状者には最優先で検査を行うべきだ。また、濃厚接触者や発生したクラスターに関わっている人など、症状がなくても感染リスクが高いと考えられる人に対しても、徹底的に検査をすべきだ」と述べた。

去年10月の段階でも「PCR検査を増やした結果、感染を抑えられたという証拠がない」としています。

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「攻めの検査でリバウンド防止を」(2021年2月)

再拡大早期探知へ「攻めの検査でリバウンド防止を」尾身会長
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(会長:尾身茂・地域医療機能推進機構理事長)は2月9日、第24回会合を開き、緊急事態宣言の解除後に求められる対策などについて意見を交わした。尾身会長は会合後の記

尾身会長は会合後の記者会見で「(感染者数増加を)早く探知して、すぐに介入することが、リバウンドを防ぐために非常に重要になる。感染リスクの高い地域などを中心に、無症状者に焦点を当てた広範かつ頻回に行う積極的検査をやってもらいたい」と述べ、「攻めの検査」で再拡大を防ぐ必要があると強調した。

10月には「PCR検査を増やした結果、感染を抑えられたという証拠がない」と言っていたのが、「無症状者に焦点を当てた広範かつ頻回に行う積極的検査を」と変わりました。
この4カ月ほどの間に、「証拠」が出てきたのでしょうか?
感染者が増えて接触者の追跡を一部諦めた保健所もあるはずですが、「必要な検査員の数やコストだけでなく、偽陽性を含む陽性者への対応にかかる保健所や医療機関のコストを考慮した場合、必要な人材・物資・資金は膨大なものとなる」のに、対応できるのでしょうか?
また、現在東京都では「事前確率の高い人」に対して検査を行って陽性率は5%ほどですが、それ以外の人たちの「事前確率」をどの程度と考えているのか、特異度がどれくらいであると考えて「どんどんと偽陽性が増え」るのが常識である検査をさせようとしているのか。
「当時はPCRの処理能力が少なかったから」という擁護も見られますが、それが検査を増やせない理由だったのならそう説明すべきで、「どんどんと偽陽性が増え」るとか言うべきではなかったと思います。

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まとめ

以前と言っていることが違うと思いますが、考えを変えたのならその理由も一緒に説明し、以前の発言は撤回、訂正すべきなのではないかと思います。
ちなみに、想定される擁護に対しての反論(疑問)を書くと、

  • 当時は1日当たりに検査可能な件数が足りていなかった
    →それならそう説明すべきで、特異度などを持ち出す必要はない
  • 当時から「リスクの高い地域を対象」と言っている
    →「リスクの高い地域」も対象とは言っているが「感染流行地域でのみ、全員に検査を行うべきという意見もあるが、尾身会長はそれも『現実的ではない』」と言っており、「感染リスクの高い地域などを中心に、無症状者に焦点を当てた広範かつ頻回に行う積極的検査」と対象が同じと考えるのは難しい。そもそも「PCR検査を増やした結果、感染を抑えられたという証拠がない」と「広範かつ頻回に行う積極的検査」とが矛盾する。新たに「証拠」が出たのか?

ひとまずこんなところでしょうか。

※追記
「コロナ専門家有志の会」でも2020年10月に「無症状の方にPCR検査を拡大することの問題は?」という記事をアップしています。
やはり今回の「広範かつ頻回に行う積極的検査」とは矛盾すると思いますが、何の説明もないのでしょうか?

無症状の方にPCR検査を拡大することの問題は?|コロナ専門家有志の会
専門家有志の会の中島です。 PCR検査の対象を無症状の市民にも拡大すべきとの声をよく聞きます。 しかし、感染症の危機管理の立場からすると、このアイデアには多くの問題があります。ここでは、感染防止対策と検査の考え方について、ぜひ知ってもらいたいポイントをお伝えします。 (本記事は、BuzzFeedの岩永記...

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