消費税について、「消費税は直接税である」と主張しているサイトを見掛けますが、これについて考えてみたいと思います。
ちなみに、今回検討するのは下記の2つのサイトの内容です。
https://abundance-life.com/blog/2022/11/05/【衝撃の事実】消費税は直接税だった/
そもそも直接税、間接税とは?
税を納める人と負担する人が同じ税金を「直接税」といい、税を納める人と負担する人が異なるものを「間接税」といいます。たとえば、消費税は、消費者が負担し、事業者が納めるため、間接税に分類されます。
と説明し、表で掲載していますが、直接税として「所得税、法人税、相続税、贈与税、住民税、事業税、自動車税、固定資産税」など、間接税として「消費税、酒税、たばこ税、関税、ゴルフ場利用税、入湯税」などを挙げています。
それぞれの税金の説明でも、消費税は「納税するのは製造業やサービス業などの事業者ですが、負担するのは消費者等」、酒税は「製造者または輸入者が納税しますが、負担するのは消費者」、たばこ税は「製造者または輸入者が納税しますが、負担するのは消費者」としています。
ですが、後ろの方でも書きますが、利用者が納税義務者として明記されている入湯税とゴルフ場利用税は直接税ではないかと思います。ここが間違っているので、「消費税は入湯税やゴルフ場利用税とは違うから間接税ではなく直接税である」という主張をする人が現れたのかな、という気もします。
株式会社アバンダンスでの説明の疑問点
https://abundance-life.com/blog/2022/11/05/【衝撃の事実】消費税は直接税だった/
「間接税は“消費者または利用者”に課される税金」で
入湯税法には、「鉱泉浴場における入湯に対し、入湯客に入湯税を課すものとする」という記載があります。
つまり、入湯税の実際の負担者は消費者であることが、明確に記載されているということです。
その他でいうと、ゴルフ場利用税も同じ仕組みです。
ゴルフ場利用税は、ゴルフ場の所在する都道府県が、ゴルフ場を利用するプレイヤーに課す税金です。
法律には、入湯税と同じように、「ゴルフ場の利用に対し、その利用者に課する」と記載されています。
「なぜ消費税は直接税なのか?」で
消費税法には、消費税の納税義務者について、「事業者は国内において行った課税資産の譲渡等につき、この法律により消費税を納める義務がある」としか記載されていません。
ここで注目したいのは、入湯税やゴルフ場利用税などと違い、「実際の負担者は消費者である」と明記されていない点です。
つまり、消費税は消費者に納税義務があるわけではないということです。
法律により、納税義務者が事業者であることのみが明確にされている以上、他の間接税とは仕組みが異なるため、消費税は事業者が直接納める税金、つまり直接税に当てはまるということになります。
として、「他の間接税」として入湯税とゴルフ場利用税を挙げてそれらは納税義務者として利用者と明記されているが、消費税では納税義務があるのは事業者であり「実際の負担者は消費者である」とは明記されていないことから「消費税は直接税である」と主張しています。
まず間違っているのが、「間接税は“消費者または利用者”に課される税金」というところです。間接税は「税を納める人と負担する人が異なるもの」とされており、単に「“消費者または利用者”に課される税金」ではありません。
そして、酒税やたばこ税も納税義務者は事業者であり、「実際の負担者は消費者である」とは明記されていないと思いますが、これらも直接税ということになってしまうのでしょうか?
逆に、利用者が納税義務者として明記されている入湯税やゴルフ場利用税が直接税ではないかと思いますが。利用者が納税義務者であり、浴場やゴルフ場側が特別徴収義務者として徴収するのは事業主(雇い主)が特別徴収義務者として従業員(納税義務者)の住民税を徴収しているのと同じように思えます。
また、裁判の判決で「消費者は消費税の実質的負担者ではあるが、消費税の納税義務者であるとは到底言えない」とあったと書いてありますが、ここで「消費者は消費税の実質的負担者ではあるが」とあるのを無視するのはどうかと思います。
「消費税・輸出戻し税のインチキ|城崎裕一(遊楽庵)」での説明の疑問点
「消費税は間接税か」での説明の疑問点
消費税法(以下、税法)第五条にあるように、消費税は「対価をもらって課税資産の譲渡など(要は売ったってこと)を行なった事業者に納税義務がある」税金なのであって、消費者が納税して事業者が預かる税金ではないのである。
これは「間接税」ではなく紛れもない「直接税」なのだ。
としていますが、上と同様に否定できるというか、間接税は「税を納める人と負担する人が異なるもの」なわけで、「消費者が負担して事業者が納税する」消費税は間接税に間違いないとしか言いようがないと思います。そして、「消費者が納税して事業者が預かる(特別徴収事業者として徴収する)」場合(入湯税やゴルフ場利用税)は直接税ということになると思うのですが。
「消費税の計算方法」での疑問点
「定義通りならこう計算される」として、粗利に(税率) / (1 + 税率)を掛けて消費税額を算出していますが、そもそも「定義」とはなんでしょうか? 「消費税は「売り手事業者」がその粗利を基に決まる税額を納税する税金」というのが定義なんですかね? ですが、それはどこに書いてあるのでしょうか? Wikipediaの「消費税法」の項目に「発生した附加価値に対して課すべき租税」という記述があるのを見つけましたが、実際に消費税法にそのように書かれているのでしょうか? どこかにそう書かれているなら書いてある場所を明記してほしいです。
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※本人からコメントをもらったので追記。
税制改革法第十条第2項に「消費税は、事業者による商品の販売、役務の提供等の各段階において課税し、経済に対する中立性を確保するため、課税の累積を排除する方式によるものとし」とあります。「多段階取引の各段階で課税し、かつ課税の累積を排除する」には「付加価値(=粗利)に課税する」方式を採るしかないのです。
それが「消費税は各段階ごとの付加価値に課税するもの」であるという根拠になります。
「多段階取引の各段階で課税し、かつ課税の累積を排除する」というのは、「付加価値(=粗利)に課税する」方式以外でも、「多段階取引の各段階で課税し、受け取った消費税相当額と負担した消費税相当額の差を納税する(現在の仕入税額控除)」で実現できるのでは? だから国内販売の例で同じ額になっているのだと思いますが(経費などで負担した消費税は考慮しないようなのでその分は除く)。
また、「複数税率でなければ同額になる」のですが、各段階での税率が異なる場合(飲食店は食材の仕入れは軽減税率だが料理を店内で食べるときは標準税率、など)、城崎裕一さんの「付加価値(=粗利)に課税する」方式では買い手(消費者)が負担する税額がいくらかわからないんですよね。税制改革法第十一条に「事業者は、必要と認めるときは、取引の相手方である他の事業者又は消費者にその取引に課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずるものとする。」とあるのですが、城崎裕一さんの方式で飲食店はこの措置を講ずることができるのでしょうか?
※追記終わり
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ですが、仮に「粗利を基に決まる税額を納税する税金」という定義があったとして、現在は税率が複数ありますし、仕入れだけではなく経費などの中にも支払った消費税があるわけで、単純に「粗利×(税率) / (1 + 税率)」で算出することはできません。
複数税率に関する例を挙げると、食料品の仕入れが税抜き400円(税率8%で税込み432円)で売値が税抜き500円とした場合、店内で食べる場合は税率10%で550円、テイクアウトでは税率8%で540円。これで「粗利×(税率) / (1 + 税率)」で算出すると、店内で食べる場合は「118*0.1/(1+0.1)」で10円(10.7円を切り捨て)、テイクアウトでは「108*0.08/(1+0.08)」で8円となり、「粗利から納付する消費税額を引いた金額」は108円と100円。ですが「法律に基づいた(仕入税額控除を使った)計算」で算出すると、店内で食べる場合は「50-32」で18円、テイクアウトでは「40-32」で8円となり、「粗利から納付する消費税額を引いた金額」は両方とも100円。このように、税率が一定であれば同じになるとしても複数税率がある場合は粗利からの単純計算をすると「粗利から納付する消費税額を引いた金額」(=税抜き価格で計算した場合の利益)が変動してしまいます。
「消費税・輸出戻し税のインチキ」での計算例での疑問点
ある事業者がある商品を400円で仕入れ、500円で売ることを考えよう。この時、仕入れに転嫁される消費税相当額は40円、売値に転嫁される消費税相当額は50円となる。(税率10%)
仕入れ代金が税込み440円、販売代金が税込み550円という例(いずれも税率10%)で計算しています。
- 「定義通り」(粗利×(税率) / (1 + 税率))の計算
ここで取り上げた例では事業者の支払う仕入れ代金が440円、客に売る代金が550円となるので、その粗利は
550 – 440 = 110円。
この110円が事業者の取り分+消費税額(取り分の10%)なので、ここから消費税額を割り出すには(税率) / (1 + 税率)を掛ければよい。
つまり、110 × 0.1 / (1 + 0.1) = 10円が納める消費税額となる。粗利が110円で、「110 × 0.1 / (1 + 0.1) = 10円が納める消費税額」としています。
- 法律に基づいた(仕入税額控除を使った)計算
この事業者が買い手消費者に転嫁する税額相当分が50円
仕入れ業者がこの事業者に転嫁する税額相当分が40円
このとき、
本来の「税額」は50円なんだけど、仕入れ時に「払ったものと見做される」消費税額40円を「控除」して
50 – 40 = 10円
を消費税として納めるよう規定されている。仮受消費税が50円、仮払消費税が40円で差し引き10円という結果となり、「定義通り」の計算と同じ結果に。
(経費などの消費税はないものとしているので同じになりますが、それを考えれば同じにはなりません) - 輸出の場合の計算
- 定義通りの計算方法
仕入れにかかる代金は440円
売値は消費税率が0%なので500円のまま。
粗利が
500円 – 440円 = 60円
税率がゼロなので消費税額は
60 × 0 / (1 + 0) = 0円 - インチキの計算方法
仕入れにかかる代金は同じく440円。
このうち40円は「課税仕入れで支払ったと見做される消費税」
輸出は免税(0%課税)なので売値に転嫁される消費税は0円。
売値に転嫁される消費税相当額から「仕入れで支払ったと見做される消費税」を控除すると…
0 – 40 = -40円!!
あれ?? 消費税額がマイナスになっちゃった??
- 定義通りの計算方法
いろいろ思うことはありますが、そもそも「消費税は直接税である」という前提に立つならば「輸出だからって免税にするのはおかしい」という批判が先に来るべきではないでしょうか? この時点で「本当は間接税だとわかっているのでは?」と思ってしまいます。
次に、仕入れは税込で440円、売値は消費税率が0%なので500円として粗利が60円。どうして免税にすると粗利が減っちゃってそのままなのでしょうか? 免税店でも輸出同様免税になりますが、この条件では免税店は商売上がったりではないでしょうか? これでは、消費者の代わりに輸出(もしくは免税店で販売)する事業者が仕入れでの消費税を負担していることになります。逆に言えば、「免税で販売すると仕入れでの消費税(この例では40円)分利益が圧縮されるので還付する」となるわけです。これで「粗利から納付する消費税額を引いた金額(もしくは還付される額を足した金額)」は100円で同じになります。
で、「消費税は直接税だけど輸出(免税店での販売)では免税にする」とした場合、「仕入れは税込み440円で、売値は540円として粗利100円」と、「粗利から納付する消費税額を引いた金額」は同額になるようにするのが妥当だと思います。消費者の立場からは「税抜き価格は500円で免税なのに売値は540円ってどういうこと?」となりますが。
アメリカの売上税のように「原材料や商品の仕入れなどの際には発生せず最終消費者に販売する場合のみ発生」という形であればわかりやすいんですけどね。
「400円で仕入れて500円(税込み550円)で販売」という例で考えれば、
国内で販売:販売と仕入れの差額150円から50円を納税して100円の利益
輸出や免税店での販売:販売と仕入れの差額100円がそのまま利益
となるので。
<追記>直接税と間接税の定義に関する考察
「税理士法人ともに」の記事に下記の記述がありました。
●果たして消費税は本当に間接税なのか?
間接税とは一体どのような税金のことを指すのでしょうか。
これについては現在、大きく以下の2説があるようです(当然ながら間接税に分類されないならば、それは直接税となります。)。
まず主だった説においては「法律上の納税義務者と実際に、その税金を負担する担税者とが不一致であることが予定されている税金」を指すようです。
これに対して少数説においては「法律上の納税義務者とは別の者が、その税金を徴収して一旦預かり、その後に、その預かった者が徴税権者に対して納付の手続きを取る税金」のことを指すようです(但し、この説は、かなりの少数説です。)。
この2つの説は一見似ているようですが全く違うことを言っています。
(中略)
よって、第1説に従えば、消費税は間接税に分類されます。
(中略)よって第2説に従えば消費税は間接税とはなりません。間接税ではない以上、直接税ということになります。
それでは、次に例としてゴルフ場利用税(都道府県税)で見てみましょう。
(中略)
よって、ゴルフ場利用税は第1説に従えば直接税となり、第2説に従うと間接税ということになります。
ちなみに入湯税(市町村税)や宿泊税(一部の自治体で導入されている地方税)なども、ゴルフ場利用税と同じ結論になります。
主流の考え方(第1説)とは違い、「法律上の納税義務者とは別の者が、その税金を徴収して一旦預かり、その後に、その預かった者が徴税権者に対して納付の手続きを取る税金」を「間接税」とする(第2説)のが「消費税は直接税である」と主張する人たちの考え方なわけですね(そのように認識しているかは不明ですが)。
上記の記事では、消費税は「第1説に従えば間接税、第2説に従えば直接税」、ゴルフ場利用税・入湯税・宿泊税は「第1説に従えば直接税、第2説でに従えば間接税」としています。
きちんと解釈すればそうなるのですが(ですので第1説を採用しているはずの国税庁がゴルフ場利用税などを間接税に分類しているのは間違っていると思います)、第2説に従うと住民税は「普通徴収の場合は直接税、特別徴収の場合は間接税」となってしまい、そのような定義をするのはよろしくないと思います。
まとめ
結論は「消費税は間接税である」です。
問題があるなら批判はどんどんしたらいいと思いますが、事実と異なることを根拠にしてはいけないと思います。誰かの受け売りで「消費税は直接税」と主張しているのか、自分で思いついたのかはわかりませんが、もっと深く考えた方がいいのではないでしょうか。
コメント
まず、「直接税」と「間接税」の定義がほぼ「逆」になっているのではないでしょうか。
「入湯税」「ゴルフ場利用税」は典型的な「間接税」です。
利用者が納税義務者であり、利用者は施設運営者に税金を「預け」、施設運営者がそれを納税する。「入湯税」「ゴルフ場利用税」を規定している地方自治法には施設運営者を「徴税義務者」とする規定もあります。つまり「施設運営者は利用者から間違いなく入湯税・ゴルフ場利用税を預かれ。そして預かった税金を間違いなく納めよ」と規定されているわけです。
この「預ける」「預かる」関係が成り立つことが「間接税」であるための条件です。政府の説明にある「税を納める人と負担する人が異なるもの」とはそういう意味です。
一方、消費税ではこの「預ける」「預かる」関係が成立していません。裁判所の確定判決でもそうなっています。
(参考)「第1回 消費税は預り金ではない(消費者の税金ではない)|Replace Bad Rule!
https://note.com/replace_bad_rule/n/n92b83db016d4」の(2)
この判決でも解説されているように、消費者は「税金を払っている」わけではなく「税金相当額が転嫁上乗せされた結果の金額を価格として」支払っているわけです。
乱暴な言い方になりますが、販売価格には消費税の他にも事業者にコストとしてかかる光熱費や人件費、事業税などが転嫁されていて、それらを払っても赤字にならないように価格を決めている、そいつらと消費税は同列なんですよ。「事業者にかかるコスト」なんです。
で、消費税そのものは販売事業者にかかって同事業者が納税する(消費税法第五条)、これって「直接税」の仕組みですよね。
コメントありがとうございます。
ですが、「直接税」と「間接税」が逆になっているのはそちらだと思います。
「特別徴収義務者 預り金」で検索すると、いろいろな自治体のホームページに「事業主(給与支払者)が特別徴収した徴収金は、従業員(納税義務者)からの預り金」のようなことが書いてあることがわかります。
入湯税やゴルフ場利用税はこれと同様だと思いますが、だとしたら住民税は間接税でしょうか?
入湯税やゴルフ場利用税を間接税としてきたのが実は間違いだったのだと思いますが。
で、入湯税やゴルフ場利用税を間接税と考え、それとは違うからと消費税を直接税だと考えてしまっているのではないか、と。
あと、入湯税やゴルフ場利用税で「利用者は施設運営者に税金を「預け」、施設運営者がそれを納税する」と書いていますが、「利用者(納税義務者)は施設運営者(特別徴収義務者)に納税し、施設運営者がそれを税務署に納入する」が正しいと思います。
なんといっても納税義務者は利用者ですから、納税義務者が納税しないとおかしいと思いますので。
そして、施設運営者は徴収して「預かり」税務署に納入する(税務署に納入するからといって納税というわけではない)。
税金を負担しているのも納税しているのも利用者ということで直接税と考えるべきだと。
まず最初に、すみませんでした。
前のコメントで法令を間違えてました。地方自治法ではなく地方税法でした。
あと、リンクがおかしくなっていたので改めて。
(参考)第1回 消費税は預り金ではない(消費者の税金ではない)|Replace Bad Rule!
https://note.com/replace_bad_rule/n/n92b83db016d4
これの(2)に裁判所の判決が、(3)に納税義務と納付義務(徴税義務)について書かれています。
この納税義務者と納付義務者が一致するものが「直接税」、一致しないものが「間接税」です。
〉施設運営者は徴収して「預かり」税務署に納入する
その通りです。正しくそのことによって入湯税、ゴルフ場利用税は「間接税」であると言えるのです。
また、源泉徴収を取り上げていらっしゃいますが、源泉徴収は「義務」ではありません。徴収しなかったからといって罰則はありません。行政が納税義務者兼納付義務者である住民から普通徴収で取立てるだけです。なので、所得税、都道府県民税は「直接税」と言えるのです。
「平行線」になってしまう可能性はありますが、最後に一言入れさせていただきました。ありがとうございました☆
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2110.htm
「所得税法は、特定の所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度を採っています。
所得税を源泉徴収して国に納める義務のある人を源泉徴収義務者といいます。」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/tokubetsu/about.html
「地方税法では、所得税を源泉徴収している事業主については、従業員の個人住民税を特別徴収しなければならないことになっています。」
所得税の源泉徴収も、住民税の特別徴収も「義務」「しなければならない」と説明されています。
(法律の原文を読んだわけではないので本当はそうではないのに国税庁や東京都が虚偽の説明をしている可能性もゼロとは言いませんが)
罰則についてはここでは説明されていないのであるのかないのか不明です。
もちろん、源泉徴収や特別徴収に該当しない場合は普通徴収となるわけですが、該当する場合は「義務」とされています。
また、国税庁のサイトにある説明で、間接税は「税を納める人と負担する人が異なるもの」とありますが、これは子ども向けのページのようで平易な言葉を使っており、難しい言葉を使うと「税を納める人」は「納税義務者」であり「納付義務者」と解釈するのは間違っていると思います。
「納付する」も「納める」と言い換えることができるのと、「入湯税やゴルフ場利用税は間接税である」というところから出発してそれに合うように解釈するから間違った解釈になったのだと思いますが。
こうして主張を交わして思ったんですが、「直接税」か「間接税」かって呼び方の議論はあまり意味を持たないのではないでしょうか。議論の土台を掘り崩すようなことを言って申し訳ありませんが。
肝心なのは「〈預ける〉〈預かる〉関係が組み込まれている税かそうではないか」です。この点、「どの税に組み込まれていて、どの税には組み込まれていないか」についてはあなたと私の間で見解の相違はほぼないものと思っております(唯一源泉徴収に関してを除いて)。いかがでしょうか。
その上で、私は「〈預ける〉〈預かる〉関係が組み込まれている税」を「間接税」と解釈していますが、あなたはそうではない、なので私が「消費税は〈間接税〉ではない」とやったことに違和感を持ったんですよね。
でしたら一度「間接税」→「〈預ける〉〈預かる〉関係が組み込まれている税」と読み替えて読んでいただければ幸いです。
ということで次に行きますが、消費税の「定義」についての疑義の件。
税制改革法第十条第2項に「消費税は、事業者による商品の販売、役務の提供等の各段階において課税し、経済に対する中立性を確保するため、課税の累積を排除する方式によるものとし」とあります。「多段階取引の各段階で課税し、かつ課税の累積を排除する」には「付加価値(=粗利)に課税する」方式を採るしかないのです。
それが「消費税は各段階ごとの付加価値に課税するもの」であるという根拠になります。
最後に輸出業者の粗利圧縮問題。
仕入れ価格440円は「価格」として一体を成すもので輸出業者はその価格を支払って仕入れて果たして商売になるかどうかを判断しなければなりません。輸出業者は一般消費者同様、転嫁先を持たない「最終被転嫁先」になるのです。
〉消費者の代わりに輸出(もしくは免税店で販売)する事業者が仕入れでの消費税を負担していることになります
との解釈は消費税が「〈預ける〉〈預かる〉関係を持たない税」である以上成立しません。あくまで輸出業者が支払っているのはまるっと「仕入れ価格」でしかないのです。
記事に追記で書きましたが、「消費税は直接税である」と主張している人たちは「直接税/間接税」の定義が一般的なものとは異なるということが理解できました。
ですので、「直接税/間接税」の呼び名にこだわるものではありませんし呼び方の議論だけなら意味はないのですが、「独自の定義での直接税/間接税の特徴」を「一般的な定義での直接税/間接税の特徴」と一緒にしてしまっているのが問題なのです。
まず、「定義が違っている」ということを理解してください。「定義が違うとはいっても言葉が違うだけ」というわけではなく、中身が全然違います。
消費税の「定義」の件、示していただきありがとうございます。
定義はあまり理解できていませんが(考え方として「消費税は各段階ごとの付加価値に課税するもの」というのはわかります)、仮に「付加価値(=粗利)に課税する」方式を採用したとして、現在税率は複数存在しますが、どのように課税するのですか?
消費者が店内で食べるかテイクアウトするかという、最終段階のわずかな違いで税率が変わるわけですが。
税抜き500円の食べ物が店内で食べると税込み550円、テイクアウトだと税込み540円、というのはいいですよね?
これでそれぞれ消費税の納税額はいくらになるか考えると「粗利から計算する」というのはうまくいかないことがわかりませんか?
それとも「税抜き価格」は存在せず、店内で食べようとテイクアウトだろうと税込みの金額は同じで、「粗利は同じ」ということを義務付けますか?
輸出に関して。あなたが主張する「消費税は付加価値に課税する直接税」という考え方からしたら、消費税が免除になっても税抜き500円(税込み550円)の商品は550円で販売すべきではないでしょうか? もしくは、「付加価値」に対して課税される分だけ安くしての販売になるべきです。
なのに税抜きの500円で販売することになるのが理解できません。売値550円は「価格」として一体を成すもので、消費税が免除になったからといって500円になってしまうのはおかしいのでは?
どうして「事業者への税金が免除されると事業者の売上どころか利益も減る(購入者の支払いも減る)」という事態が起きるんですか?
あなたがずっと主張している「付加価値(=粗利)に課税する」という考え方からしたら、「仕入れ440円、売値550円で粗利110円。消費税は免除されるので納税額0円」となるのが妥当です。「付加価値(=粗利)にかかる税金を免除すると、免除された税額以上販売価格が下がってしまう」理由がわかりません。
そして、「転嫁」という言葉を使っていますが、消費税は転嫁されているのなら実際に負担しているのは「転嫁された側」じゃないですか。で、輸出業者が「最終被転嫁先」になるのであれば、「輸出する事業者が消費税を負担している」で正しいと思うのですが。「預かる」とか関係なく。
国内で販売:一般消費者に転嫁=一般消費者が「最終被転嫁先」=一般消費者が負担している
輸出で販売:輸出業者は「最終被転嫁先」=輸出業者が負担している
それとも、「転嫁されてはいるけど負担はしていない」とでも主張しますか?
あなたの主張はめちゃくちゃで、全然筋が通ってないんですよ。
もうちょっときちんと整理してください。
〉仮に「付加価値(=粗利)に課税する」方式を採用したとして、現在税率は複数存在しますが、どのように課税するのですか?
むしろ簡単ですよ。各段階の業者が売り渡し時にその付加価値に応じた税額を課税されるので。下の記事の2章目に書きましたが、(粗利) × (税率) ÷ (1 + (税率))が課税額になります。
(参考)「消費税二重取り」の正しい解説|城崎裕一(遊楽庵)
https://note.com/yurakuan/n/n68409e3f6b0d
「参考」の記事を拝見しました。
「食材432円(うち消費税転嫁額32円: 税率8%)を仕入れて料理を作り1,100円(うち消費税転嫁額100円: 税率10%)で提供する」とした例で、飲食店の納税額が「インチキ計算」により高くなってしまっている、という主張ですね。
ですが、「食材432円(うち消費税転嫁額32円: 税率8%)を仕入れて料理を作り1,100円(うち消費税転嫁額100円: 税率10%)」の場合、現行制度では粗利668円、消費税納税額は68円、税抜きの粗利(粗利から消費税納税額を引いたもの)は600円です。
これと同様にするには、あなたが考える制度では「食材432円を仕入れて料理は1092円で提供」(粗利は660円、消費税納税額は60円、税抜きの粗利(粗利から消費税納税額を引いたもの)は600円)とするのが正しい比較対象です。
それでも「飲食店の納税額」が8円違うことは変わらず、「仕入れ+飲食店」のトータルでの納税額は100円と92円でこちらも8円違いますが、この差を誰が負担しているかといえば消費者です。
この違い、わかりますか? 事業者に対する影響を考える場合は納税額を見るのではなく利益を見なくては正しい比較はできません。
同じ値段で仕入れたものを同じ値段で売った時の納税額を比較しなかったら、税負担が余計に掛かってるかなどわかりませんよ。
飲食店にとってはいくら課税されるかが問題なんですから。
では「食材432円を仕入れて料理は1092円で提供」とした時に、現行税法の計算でいくら消費税を納税することになるか計算してみましょう。
料理を1092円で提供するならば、売値に転嫁されている消費税額は
1092円 × 0.1 ÷ (1 + 0.1)=99.27…円≒99円
なので飲食店に対する課税額は
99 – 32=67円となって、やはりこの場合でも7円高いですね。
わかりやすくするために税率に換算します。
現行税法による課税額が67円、粗利660円ですから
67円=660 × (税率) ÷ (1 + (税率))になります
67 + 67 × (税率)=660 × (税率)
(660 – 67) × (税率)=67
税率=67 ÷ 593=0.112…≒11%(切り捨て)
となって、消費税率11%になります。
やはり余計に取られてるのではないですか??
正直、現在の計算法とあなたの主張する「粗利に課税する」場合の計算法では完全に別物なので、比べようがないんですよね。
まず、現行制度では「税抜き価格に所定の税率を掛けた額を受け取り(仮受消費税)、仕入れ等で払った消費税相当額(仮払消費税)との差額を納税(仮払消費税の方が多い場合は還付)する」というものです。
あなたの主張する「粗利に課税する」計算法では、「粗利に(税率) / (1 + 税率)を掛けて納税額を算出する」ですよね?
と、これを書いていて疑問に思いましたが、「粗利に課税する」というものなのになぜ「(税率) / (1 + 税率)」を掛けるのですか?
それは「現在の計算法での税率をこうやって変換して税込み価格に掛ければ税額が出せる」のと同じことをしているのですが、どうして「粗利に所定の税率を掛けた額」ではないのですか?
仕入れが440円、販売が550円であれば粗利は110円。これで10%を掛けたら11円です。これがあなたの主張する制度での納税額になるべきなのでは?
なのにどうして粗利を「事業者の取り分+消費税額(取り分の10%)」と分けてめんどくさい計算をしているんですか?
「事業者の取り分」というのを想定して、それから「取り分に対して税率を掛けたもの」を税額とする、なんておかしいですよ。
もちろん事業者が価格を決める際にそのような計算はするでしょうが、「粗利から税金を取る」ということであれば粗利に税率を掛けるべきでは?
これは「税率が同じで仕入れなどの額も同じという場合に税額が同じになるようにした操作」であり、適切な比較ではありません。
あと、そもそも粗利はどう求めるのですか?
「売上高引く売上原価」だろうとは思いますが、複数税率のある飲食店の場合、「10%で販売した料理の原価」と「8%で販売した料理の原価」というのをどう計算するんですか?
物によっては仕入れ値も日々変動しますし、作っている最中に落としてしまって廃棄とか、売れ残りで廃棄とかの場合はどちらの原価に含めるのか、など。
まさか「廃棄は原価に含めない」なんてことはないでしょうが。
税率が一つであれば個々の料理で計算しても全部まとめて計算しても同じになるのですが、現状複数税率があるわけで。
話がそれてしまいましたが、あなたは「飲食店はいくら課税されるかが問題」とおっしゃっていますが「事業者の取り分+消費税額(取り分の10%)」という計算をしている時点で「消費者(購入者)が負担する」というのを本当はわかっているんじゃないですか?
〉「粗利に課税する」というものなのになぜ「(税率) / (1 + 税率)」を掛けるのですか?
それは「現在の計算法での税率をこうやって変換して税込み価格に掛ければ税額が出せる」のと同じことをしているのですが、どうして「粗利に所定の税率を掛けた額」ではないのですか?
それは小学5年生あたりで習う「比例配分」の問題です。
「粗利の中から消費税を払う」「消費税は事業者の取り分に税率を掛けたものである」という条件なので
粗利=(事業者取り分) + (消費税)
消費税=(事業者取り分) × (税率)
第1式から
事業者取り分=(粗利) – (消費税)
第2式に代入して
消費税=((粗利) – (消費税)) × (税率)
=(粗利) × (税率) – (消費税) × (税率)
よって
(消費税) + (消費税) × (税率)=(粗利) × (税率)
(消費税) × (1 + (税率))=(粗利) × (税率)
つまり
消費税=(粗利) × (税率) ÷ (1 + (税率))
となります。
そんなの、簡単な一次式ですから式を説明されなくてもわかります。
僕が問題視しているのはあなたの「消費税は「売り手事業者」がその粗利を基に決まる税額を納税」という説明です。
あなたは今回「消費税=(事業者取り分) × (税率)」という式を出していますが、どう考えてもこれを「粗利を基に決まる税額」とは呼べません。
「粗利からも算出することができる」というだけです。
「粗利を基に決まる税額」であれば「(粗利) × (税率)」であるべきです。
そして、「事業者取り分」が基になるのであれば、比較する場合も「売り値」ではなく「事業者取り分」が同じになるべきというのが前で出した「1100円と1092円」の話です。
あと、以前のコメントで
———————-
ということで次に行きますが、消費税の「定義」についての疑義の件。
税制改革法第十条第2項に「消費税は、事業者による商品の販売、役務の提供等の各段階において課税し、経済に対する中立性を確保するため、課税の累積を排除する方式によるものとし」とあります。「多段階取引の各段階で課税し、かつ課税の累積を排除する」には「付加価値(=粗利)に課税する」方式を採るしかないのです。
それが「消費税は各段階ごとの付加価値に課税するもの」であるという根拠になります。
———————-
と、「「付加価値(=粗利)に課税する」方式を採るしかない」、「「消費税は各段階ごとの付加価値に課税するもの」であるという根拠」と、「付加価値(=粗利)に課税する」と明記しています。
これは「定義」にも関わる根幹部分だと思いますがね。
「粗利に課税する」かつ「課税分は買い手に転嫁する」とするとこの式しかありません。いわゆる「税込み価格」から「消費税相当額」を出すのと同じことですから。
まぁ、式の解説は簡単だから要らないとのことでしたのでこの程度のことはおわかりだとは思いますが。
つまり、「事業者取り分」のことも粗利と呼ぶが、「(事業者取り分) + (消費税)」のことも粗利と呼ぶ。読む側が混乱しようと知ったこっちゃない。こういうことですか?
あと、別の角度から新たな記事を書いたのでよかったらお読みください。
これで「誰が負担しているか」というのが理解できないのなら僕の説明で理解してもらうのは無理だと思います。
https://www.vsd1104.com/archives/10300
「税込み粗利」と「税抜き粗利」って言葉使っちゃって大丈夫でしたか??
ならそれでそうしますが。
実際に売値から仕入れ値を引いたのが「税込み粗利」でそこから税金分を計算する形です。
それだと分かりづらいかと思って「税抜き粗利」を「事業者取り分」と言ったのですが。
一般的な定義、使われ方まできちんと把握しているわけではありませんが、
粗利 = 売上 – 売上原価
(商品単位で見れば 粗利 = 売値 – 仕入れ値)
こうなると思いますが、消費税が導入されている状況ではいずれも「税込み」です。
で、「売値 = 税抜きの売値 + 消費税(仮受消費税)」、「仕入れ値 = 税抜きの仕入れ値 + 消費税(仮払消費税)」であり、「税抜きの粗利」は「税抜きの売値 – 税抜きの仕入れ値」となるという認識です。
「税抜きの粗利」をこのように定義すると、あなたの主張する「粗利(税込み)から納税額を算出する」計算法では仕入れと販売で税率が違う場合は「粗利(税込み)- 納税額」と一致しません。なので、あなたが「税抜きの粗利」と言うと違うものになってしまうのではないかと思います。
一般的な認識とは別物になりそうということで、違うものを同じ呼び方をするよりかはマシな気もしますが。
仕入れ側はあくまで消費税転嫁分も含めて全てが仕入れ価格です。
これを税抜き仕入れ価格と消費税に分割することはできません。
それは消費税が「間接税」であり、間接税においては担税者が租税の当事者性を全く持たないからです。
だから、(売渡しの消費税) – (仕入れの消費税)という引き算自体ができないことになります。
なので、付加価値=(売渡し価格) – (仕入れ価格) を自分の粗利と消費税で山分けする計算をする必要があります。
仕入れと売渡しの税率が違ってもそれは一切関係ありません。
売渡しの税率だけで計算できます。
なので「インボイス」などというものは要らないんですよ。
〉消費税が免除になっても税抜き500円(税込み550円)の商品は550円で販売すべきではないでしょうか?
それは輸出業者が決めればいいことです。この例では国内取引と輸出取引の消費税転嫁額と納税額が追いやすいように転嫁前売値(500円)+消費税転嫁額で値付けしましたが、実際には業者が大丈夫な売値を設定するでしょう。
あなたの考える制度では「転嫁前売値(500円)」は存在しないはずです。
消費税が輸出や免税店で免除されるのは負担するのが輸出先や免税店で購入する人になるからです。
「粗利にかかる税金の分だけ安く販売する」のであれば、粗利から消費税納税額を引いた額が同じになる「540円」で販売するとして計算するのが妥当です。
あなたの考える制度では「仕入れ440円」「粗利110円」となるのが妥当な例です。
〉国内で販売:一般消費者に転嫁=一般消費者が「最終被転嫁先」=一般消費者が負担している
〉輸出で販売:輸出業者は「最終被転嫁先」=輸出業者が負担している
売り手側の「光熱費」「人件費」「輸送費」「法人税」などもコストとして売値に転嫁されてますが、それらと同じ意味であれば一般消費者や輸出業者が「負担している」と言っていいと思います。買い手が売り手に消費税相当額の金銭を支払っていることは確かですが、それはあくまで「価格の一部として」支払っているのだということが押さえられてれば問題ありません。
「消費税率が引き上げられるとその分、物価が強制的に上がる」のです。
〉買い手が売り手に消費税相当額の金銭を支払っていることは確かですが、それはあくまで「価格の一部として」支払っているのだということが押さえられてれば問題ありません
どちらでも同じだろ、というご意見があるかもしれませんが、正しくここを区別しておかないと「負担している」を「納税している」と混同させることから「輸出還付」だの「益税」だのという話が持ち出されてきているので
では、「輸出業者は一般消費者同様、転嫁先を持たない「最終被転嫁先」になる」というのはどういう意味ですか?
輸出の場合だって「価格の一部として」消費税相当額を払わせればいいではないですか。
なのにあなたが取り上げた例でも消費税相当額を価格に含めないようにしています。
それがおかしいと言っているんですよ。
〉輸出の場合だって「価格の一部として」消費税相当額を払わせればいいではないですか
そこも含めて輸出業者の値付けの問題です。売渡し価格に好きに乗せればいいのです。「消費税相当額転嫁分」として乗せられる金額が0なだけです。
消費税法が消費税の課税範囲を国内向け取引に限っているので「輸出業者が自らにかかる消費税(実際は税率0%なのでありませんが)を転嫁する先はありませんよ」というのが「最終被転嫁先になる」の意味するところです。
〉「独自の定義での直接税/間接税の特徴」を「一般的な定義での直接税/間接税の特徴」と一緒にしてしまっているのが問題なのです
ここについてもう少し詳しくお願いします。
例えばあなたの記事の「消費税は間接税か」という項目で「消費税は(中略)消費者が納税して事業者が預かる税金ではないのである」と書いているのは正しいですが、「これは「間接税」ではなく紛れもない「直接税」なのだ」というのは一般的な定義で考えると間違いです。なのに「一般的な定義に従った直接税である」、またはその特徴を持っていると思わせるような主張がよくないのです。
記事中の「第一の説」があなたの定義、「第二の説」が私の定義になってますが、「第一の説」が主流というのは正直納得し難いところがありますね。
「第一の説」が「直接税は…」「間接税は…」という類型的な話をするのにあまりにも使い勝手が悪いと思うからです。
政府の示した分類がまた、どちらの説にも当てはまらない面妖な分類になっててアテにならないし…
まぁ、これに関してはさらに情報を集めることにします。
「第一の説」と「第二の説」が違うということはわかりますよね?
で、「第一の説」では消費税は間接税となりますが、一般的には消費税は間接税といわれているので、「第一の説」が主流なのでは?
で、使い勝手が悪いと言いますが、そういう類型的な話をする元になっているのも「第一の説」なわけですよ。
「直接税はこういう特徴がある」という話をする際の分類も「第一の説」に従って分類されたものなわけで、新たな定義をしたとしても、「これまで言われてきた直接税の特徴」と同じものを持っているという考えはおかしいのです。
まあ、国税庁のサイトでも入湯税やゴルフ場利用税を間接税に分類していて間違っているので、「しっかりしろよ」とは思いますが。
あと、何度も言いますが「第二の説」では「特別徴収の場合の住民税」は「間接税」ですよ。
〉「第二の説」では「特別徴収の場合の住民税」は「間接税」ですよ
「住民税の特別徴収」は徴収しなかった(できなかった)場合の罰則がありませんので、雇用者を「徴収(納付)義務者」と看做すことはできません。
「第二の説」を採るならば「間接税」に残るのは「入湯税」や「ゴルフ場利用税」など地方税法の一部しかなくなるのですが(酒税もたばこ税も「転嫁」構造なので「直接税」になる)、これらで「徴収義務者」とされている施設運営者は徴収できなかった場合には、罰則として立て替えて納税する義務を負います。そしてその後、本来の「納税義務者」である利用者に対して弁償を求める「求償権」を持ちます。
「第一の説は使い勝手が悪い」は言い過ぎでしたかね??
今の議論の根幹は「出してるカネが税か税でないか」なので「その議論には使いづらい」ということでしょうか。
「還付」ってのは「払い過ぎた〈税金〉を納税義務者に還す」ことなので、税として出してないカネに対する「還付」はおかしいのですよ。
https://www.city.sagae.yamagata.jp/kurashi/zei/syozei/shikenminzei/kojinjuminzeitokucho.files/QandA.pdf
上記(PDFです)から引用すると、
————-
Q2:今まで特別徴収していなかったのに、なぜ、今になって特別徴収にしなければならないのですか?
A2: 地方税法では、所得税を源泉徴収する義務のある事業主は、事業所の規模にかかわらず、事業主の社会的義務として、従業員の個人住民税を特別徴収しなければならないこととされており、する・しないを選択できるものではありません。
これまでも特別徴収する義務があったのですが、そのことが徹底されていませんでした。
(中略)
Q3:特別徴収にしなかった場合、罰則があるのですか?
A3: 事業主が、通知された特別徴収税額を納税しない場合は、滞納のみならず、脱税となることから、地方税法の規定により、10 年以下の懲役もしくは 200 万円以下の罰金が科せられます。
————-
罰則はあるそうですよ。
「立て替えて納税」よりよっぽど重いと思いますが。
少し調べてみました。源泉徴収の義務強化が平成29年あたりより実施されているのですね。
なるほど、これなら源泉徴収の所得税、住民税には「〈預かる〉〈預ける〉関係が成立している」と言えそうです。
一方で、日経オンライン版の2010年10月20日付にこんな解説がありました。
〉直接税は税金を納める義務のある人が国や地方公共団体に直接納める税金のこと。所得税や法人税、事業税などがこれにあたる。間接税は税金を納める義務のある人が直接でなく、モノを購入した店の経営者などほかの人の手を通じて納められる。消費税や酒税などが該当する
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS07036_Z01C10A0000000/
明らかに「税金を納める義務のある人」=「納税義務者」ですから、これは「第二の説」に基づく解説ですよね。
しかもご丁寧に第3文後半以降が間違っています。消費税の納税義務者は「売り手」だし酒税の納税義務者は「酒類製造者」でいずれも当局に直接納税しています。
で、あなたの定義だと「住民税は直接税でもあり間接税でもある」となりますが、なんとも思わないですか?
「定義の説明」と「定義に従って挙げたはずの例」とが一致しない場合は「どちらかが間違っている」としか言えないと思いますが。
まあ、あなたの立場であれば「定義が正しくて例が間違っている」と思いたいでしょうね。
そう思いたいならそう思えばいいのではないでしょか。
「第一の説」による定義を咀嚼したのですが、「直接税・間接税の分類は税の払い方で分類されるものではなく、納税義務者と担税者が一致するかしないかによる分類である」と。言い換えると、転嫁構造を持つ税こそが「間接税」であり、それ以外が「直接税」である。
つまり私が「消費税は〈間接税〉ではない」と主張した正しくその理由によって消費税は「間接税」だと言えるわけですね。
少し資料を探したところ、平成元年第114通常国会の参議院質問第6号主意書とその答弁書が出てきて、その質疑では「第一の説」に基づく質疑が行なわれていました。
そして、「間接税」の特徴は「担税者がその税金に対して何の法的地位も持たない」ことである。とも質疑内で言及されていました。
まとめると「間接税」とは、「人を介して間接的に〈支払う〉税」ではなく「間接的に〈税になる〉税」のことなんですね。つまり担税者が租税債務者(=納税義務者=課税対象者)に支払った時点ではそれは「税」ではなく、租税債務者が納税するときに初めて「税」になるということでした。
確かにこの定義ならば、どういう徴収をしようとも所得税・住民税は「直接税」になりますし、仰る通り「入湯税」「ゴルフ場利用税」も「直接税」に分類されることになりますね。
国会質疑の質問者・答弁者の間で共通の認識土台になっているようですから、消費税は「間接税」である、という結論になりますね。
同時に私の記事の趣旨は「徴税方法」についてなので「直接税・間接税」の分類を持ち込むべきではなかったことになります。
近々「消費税は〈預かり税〉ではない」という章タイトルに変更します。
同時にこの「第一の説」についても章立てして書こうと思います。
一般庶民の「肌感覚」とだいぶ違うように感じますので。
ご指摘ありがとうございました。
ひとまず「直接税か間接税か」というところはご理解いただけたようでよかったです。
とすると、仕入れの取引について仕入れをする側は「担税者」、仕入れ先が納税義務者になりますから、仕入れをする側は仕入れの取引で発生する消費税について「何の法的地位も持たない」ことになります。
この一点だけでも仕入れをする側が仕入れ取引で発生した税額相当分を「控除」してもらう権利を持つとは考えられないので、「課税仕入れ控除」はやはり「インチキ」であるということになると思います。
そこで、「課税の累積を排除する」の出番なわけですよ。
「仕入れ値が税込み440円(税抜き400円)、売値が税込み550円(税抜き400円)」とした場合(A社から仕入れてB社が消費者に売ったとします)、
A社が受け取った消費税相当額:40円
B社が受け取った消費税相当額:50円
消費者が負担した消費税相当額:50円
この時、「A社が受け取った消費税相当額」は「B社が負担した消費税相当額」でもあるわけです。
「受け取った消費税相当額をそのまま納税する」ということになると、消費者が負担したのは50円なのに、納税額は合計90円になります。こういう事態を避けるために「課税の累積を排除する」と規定され(一般に「仕入税額控除」と呼ばれますが)、控除することになっているのです。
これ仮に、A社がB社に卸さず自分で550円(税込み)で消費者に売ったら消費者が負担する額がそのまま合計の納税額になりますし、材料、部品、完成品、小売が全部違う会社で各段階で消費税が発生したら、最終的な売値が同じだとしたら、消費者が負担する額はそのままで合計の納税額はどんどん膨らむことになります。
これを「インチキ」と呼ぶのはどうかと思いますよ。
「課税の重複を回避する」ために「付加価値に課税する」形になるんです、という話です。
で、消費税が「間接税」であって、間接税において「担税者」は租税の当事者ではなく何の法的地位も持ってないのですから、仕入れの取引においては「控除」を受ける立場にはありません。
なので、売り手としての売り渡し取引において付加価値を「粗利」と「消費税」として租税債務者(国とか地方自治体)と山分けする計算をする以外ないのです。
しかるに「課税仕入れ控除」などというものを持ち込むから「インチキ」と呼んでいるのです。
仮に「付加価値に課税する」形にしたら、税制改革法第十一条にある「事業者は、必要と認めるときは、取引の相手方である他の事業者又は消費者にその取引に課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずるものとする。」というのを実施することができますか?
あと、以前「販売時に複数の税率がある場合はどのように税率ごとの粗利を計算するのか」と質問しましたが、その問題はどうやって解決しますか?
追加で。
仮に「間接税の特徴が『担税者がその税金に対して何の法的地位も持たない』ことである」というのが仕入税額控除を否定する根拠になるのであれば、「消費税は間接税ではない(かといって直接税というわけでもない)」ということではないでしょうか? 「あくまで一般的な話であって例外は存在する」という可能性もありますし。
なんだか、どうしてもインチキではないと認めたくなくて否定する根拠を探しているように見えます。
「直接税か間接税か」の話でも思いましたが、結論が決まっていて、その根拠を探しているように思います。
書き間違い。
「租税債務者」じゃなくて「租税債権者」です。
〉仮に「間接税の特徴が『担税者がその税金に対して何の法的地位も持たない』ことである」というのが仕入税額控除を否定する根拠になるのであれば、「消費税は間接税ではない(かといって直接税というわけでもない)」ということではないでしょうか?
制度設計に矛盾があるってだけですよ。だから「インチキ」と呼んでいます。
〉「あくまで一般的な話であって例外は存在する」という可能性もありますし
なんて言ったら「何でもあり」です。
そもそも「付加価値税(日本の〈消費税〉にあたる)」なるものがフランスで考案された時の導入動機が「輸出企業に補助金を出すこと」だったんです。
どうしてこんなしち面倒くさい仕掛けにしたかというと、当時はアメリカ中心に「自由貿易推し」が強かった時代で「輸出補助金はダメだよ」ってのが世界的な流れだったんです。
そこで表立って出せない「輸出補助金」を「税金の還付」と偽って出そうと考案されたんですよ。だから付加価値税を導入している国でインボイスやってる国も結構ありますし、この「インチキ」構造も大体共通です。
閑話休題
前のコメントで言及した第114通常国会参議院質問第6号の質問主意書とその答弁書のやり取りで「消費税は〈間接税〉であり、担税者は何の法的地位も持たない」旨、政府答弁されています。
だから担税者、例えば消費者が支払った税額相当分について「返還請求する権利」も「賠償請求をする権利」も有しないとのことです。
Q.「政府は、消費税の担税者たる国民が、消費税法律関係において、いかなる権利を保有する法的地位にあると考えるか。」
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/114/syuh/s114006.htm
A.「消費税法上、消費税の納税義務者は事業者であり、したがって、国と消費者との間には消費税についてのいわゆる租税法律関係は生じない。」
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/114/touh/t114006.htm
ついでに主意書と答弁書のリンクも貼っておきました。
「担税者が何の法的地位も持たないのはまずいのではないか」という質問や、今いろんな人が吹聴している「益税」を否定する答弁などこの時に結構出尽くしています。
その上で今のこの制度なんですよね。
いろいろ思うことはありますが、まずは以前のコメント、
————————-
仮に「付加価値に課税する」形にしたら、税制改革法第十一条にある「事業者は、必要と認めるときは、取引の相手方である他の事業者又は消費者にその取引に課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずるものとする。」というのを実施することができますか?
あと、以前「販売時に複数の税率がある場合はどのように税率ごとの粗利を計算するのか」と質問しましたが、その問題はどうやって解決しますか?
————————-
に答えてください。
特に「販売時に複数の税率がある場合はどのように税率ごとの粗利を計算するのか」というのが解決できないとあなたの主張は根幹から瓦解すると思いますし、僕はすでに瓦解していると確信しています。
あなたは現在もその崩れた根拠を基に主張していると思われますので、答えること自体が無駄だと思います。
販売時に複数税率がある場合ですか??
あぁ、牛丼屋とかみたいに持ち帰りと店内飲食みたいなやつですね。
そんなもん勘定口座を8%口座と10%口座に分ければ解決できます。
そしてそれぞれの口座でいわゆる「税込会計処理」をしてやれば問題ありません。
取引相手にその取引にかかる消費税相当額を提示するって要は今もあるレシートを出してやればいい。
あの「消費税(10%)」ってのは誤解を招くので「消費税額相当分(10%)」にした方がいいと思いますけどね。
「勘定口座を8%口座と10%口座に分け」るというのはどうやるのですか?
売上は簡単にできるでしょうが、売上原価(仕入れ)でそれができるのですか?
非現実的だと思いますが。
あなたが考える制度での「その取引にかかる消費税相当額」というのはいくらですか?
「仕入れが432円で、1100円(税率10%)で料理を提供する飲食店」という例を出していたと思いますが、この場合は「消費税額相当分」はいくらですか?
飲食店の粗利から算出した60円ですか? 1100円から算出される100円ですか? 飲食店の粗利から算出した60円に仕入れ432円から算出される32円を加えた92円ですか?
そして、料理を作る際に原価が正確にわかるものですか?
「直接税」の件では、あなたが深く考えずに何か「答えらしきもの」を出してきたのを僕がたたきつぶすというのを何度か繰り返し、ようやく考えを修正されました。
今回は同じことをしようとは思わないので、僕に頼らず、自分で考えて答えにたどりついてください。それができないのならコメントしていただかなくて結構です。
まともな回答ではないので、これ以外のコメントには答えないのは継続します。ついでに、最近のコメントは承認を取り消しました。
追記
〉アメリカの売上税のように「原材料や商品の仕入れなどの際には発生せず最終消費者に販売する場合のみ発生」という形であればわかりやすいんですけどね
消費税施行前の「物品税」がそうなっていました。
物品税法
第三条 第一種の物品の小売業者は、その小売をした当該第一種の物品(課税物品に該当するものに限る。)につき、物品税を納める義務がある。
ちゃんと「小売業者」と書いてあります。
これにどう返信したものかと思っていましたが。
この例を出したのは「この計算法とあなたがインチキと呼ぶ計算法で金額が一致する」ということを示すためです。
仕入れや販売での税抜き価格が同じなら消費者の負担額(消費者が払う価格のうちの消費税相当額)も販売する事業者の税抜きの粗利も「インチキ」と同じなんですよ。
「この例」が「どの例」なのか対応関係がわかりませんが、粗利周りの用語がわかりにくいとのことでしたので、
(売値) – (仕入れ値)を「付加価値」、このうち売り手事業者の取り分を「粗利」と呼び替えましょうか。そしたらわかりやすいでしょうか??
付加価値=(粗利) + (消費税)
消費税=(粗利) × (税率)
という風に。
そしたら付加価値から消費税を取る形になります。
消費税=(付加価値) × (税率) ÷ (1 + (税率))
ですね。
「この例」というのは以下の件です。
—————
アメリカの売上税のように「原材料や商品の仕入れなどの際には発生せず最終消費者に販売する場合のみ発生」という形であればわかりやすいんですけどね。
「400円で仕入れて500円(税込み550円)で販売」という例で考えれば、
国内で販売:販売と仕入れの差額150円から50円を納税して100円の利益
輸出や免税店での販売:販売と仕入れの差額100円がそのまま利益
となるので。
—————
これが、「現在の制度で税込み440円(税抜き400円)で仕入れて税込み550円(税抜き500円)で販売」で計算したのと一致する、ということです。
(「利益」と書いていますが「粗利から消費税納税額を引いたもの」と理解してください)
あなたの考えた計算方法ではこれと一致しません。
それぞれのケースの事業者、消費者で「納税額」「(実質的な)負担額」を考え、「国や地方公共団体に入る合計の税額」も計算してみてください。