放送日：2005年11月23日
あらすじ
公式
ある日、交番に600万円もの大金が拾得物として届けられる。我こそは持ち主と名乗り出る人また人。交番内ではなぜか、金の亡者たちを杉下右京（水谷豊）と亀山薫（寺脇康文）がさばいている。そこへ、パトロールを終えた下薗司巡査（音尾琢真）が戻ってくる。テレビを見ながら一服する右京たち。画面には600万円を届け出た学生が、取材陣に追い掛けられる様が映し出されていた。顔にぼかしは掛けられているものの、明らかに迷惑そうである。
学生の名は池田俊太郎（中村友也）。訳の分からない大金がアパートの郵便受けに投函され、それを正直に届け出たばっかりに、一躍、時の人となってしまったのだ。
その晩、池田が暴漢に襲われる。幸い命に別状は無かったが、良いことをした自分がなぜこんな目に…と、池田は世の中に対する不信感を募らせていく。暴漢は池田に、あれは自分の金で無ければヤバイことになる、警察から取りかえして来なかったら殺すと言ったという。過熱報道により、池田の素性は一部メディアに流出していた。それを見て、暴漢は池田に言いがかりをつけてきたのか…。正直者がバカを見る世の中なんて絶対に許せない！と、池田を守る決意の薫。対して右京は、池田の行為が単なる美談では終わらない可能性を指摘する。池田が拾得者の権利を放棄していなかったからだ。持ち主が現れなければ、いずれこの大金は池田のものになる。そこには理不尽と言えども“嫉妬”が生まれる。池田の受難は、この先も続くだろう…と。
案の定、池田は大学でも“正直者のＩ君”と揶揄され、孤独を深めていった。新聞にも、いまだ続報が綴られている。そんな紙面を暗い表情で見る池田の顔色が一変する。自分を襲った暴漢の写真が掲載されていたからだ。
暴漢の名は古谷稔（犬養淳治）。新聞にはリンチ殺人の被害者として掲載されていた。つまり古谷は、池田に言った通り“ヤバイこと”になり、命を落としてしまったわけだ。古谷は麻薬の売人だった。売上金を巡るトラブルが原因だろうか。だが、検死の結果、遺体にあった無数の傷は死後につけられたものと判明。知識に欠けた人物による“偽装リンチ”の可能性が濃くなった。また、届けられたお金には帯封が掛けられており、麻薬取引の金と考えるには無理があった。古谷が紛失した600万円は別に存在する…。そんな折、600万円の本物の持ち主が現れる。下薗巡査が親しく世話をしていた近所の老婦人・梶多恵子（絵沢萌子）だ。多恵子は、公表されていない６束すべての最初の紙幣番号を申告し、認められた。老眼で新聞をあまり読まないという多恵子は事件の詳細を知らず、下薗に助言されタンス預金を確認したところ、はじめて600万円が無くなっていることに気づいたのだという。万が一に備え、紙幣番号を控えておいたのが役に立ったと喜ぶ多恵子と下薗。さらに、捜査一課の働きにより古谷殺しの犯人も検挙され、事件には幕が下りる…はずだった…。
だが、ただ一人、終わりを感じられずにいた右京の予感が的中。翌朝、多恵子の他殺体が自宅で発見される。前夜、多恵子宅から出て来るところを目撃された男はなんと、大学生の池田だった…！
ネタバレあり
- 「600万円入った封筒が郵便受けに投函された」と池田（大学生）が交番に届け出て、池田の顔にはモザイクが入れられているものの報じられて話題となる。
- 届けられた交番には「自分が600万円を投函した」と名乗り出る人物が相次ぎ、その交番の警察官（下薗）が亀山と旧知ということもあり亀山が手伝いに行く。
- 池田が突然「俺の600万を返せ、誰かが俺の600万を盗んでおまえの家に投げ込んだ、あれは間違いでしたと言って取り返してこい、じゃないと殺すぞ」と男に痛めつけられ（週刊誌にはモザイクなしの写真や家の場所も載っていた）、通り掛かった右京と亀山が病院へ連れて行く。
- 古谷（池田を痛めつけた男）が遺体で発見される。池田は新聞でそれを知り、右京らに伝える。池田は「どうして、こんなはずじゃ」と漏らす。
- 「古谷は以前からマークされていた覚醒剤の売人だが売上を何者かに盗まれてそのせいで暴力団から報復を受けた」という線で伊丹は考えるが、古谷の体の傷は生活反応はなかったという報告を受け、右京は「素人の犯行」と推理。
- 亀山は下薗から600万円は帯が巻いてあったことを聞き、薬物の売上ではないと考える。それを聞いて右京は「なるほど」と反応。
- 600万円の本物の持ち主（梶、下薗の顔見知り）が現れる。自宅のタンス預金を調べたらなくなっていたが、万が一に備えて紙幣番号を控えておりそれが一致したため本物の持ち主と確認。
- 右京はそれを聞いても釈然とせず、梶に「1週間前から600万円拾得の話は話題になっていたが」と聞くと、「老眼で新聞も隅まで見ないしテレビも見ない、下薗が教えてくれなかったらずっと知らないままだった」と説明。
- 古谷を殺した犯人（古谷の隣の部屋の男）が捕まる。「以前から隣の男が覚醒剤の売人ということはなんとなくわかっていた、売上金をコインロッカーで受け渡ししているが鍵の隠し場所を盗み聞きして600万円をせしめた、古谷は僕に疑いの目を向けてきて部屋に連れ込まれて殴られたが古谷が電話を取った隙に刺した」と殺害を認める。
- 梶の遺体が発見され、前日梶の家に池田が来ていたと近所の人が証言。右京は「池田は犯人、下薗にも手伝ってもらおう」と下薗を連れて池田の通う大学へ。
- 池田に会い、梶が殺されたことを伝えると「僕は殺していない」と否認。右京は「君は誰も殺していないが君は犯人、社会に小石を投げ込みその波紋を広げた張本人、600万円の拾得は君の自作自演、2週間前に若者が万馬券を当てたというニュースがあったが当たり馬券は君の誕生日と同じ、心理学の研究に役立てるため」と指摘すると池田は認める。池田が梶の家に行ったのはどうやって手に入れたか問い詰めて返してもらうつもりだったが「あの600万円がなかったらこの先生活できなかった」と礼を言われて何も言えなくなったという。そして右京は「君があんなことをしなければ誰も人生を踏み外さずに済んだ、そうですね」と下薗に話を向ける。実は下薗は競馬で大きな借金があり、梶と共謀して（梶はもともと競馬仲間、下薗が控えておいた紙幣番号を梶に教えた）600万円をせしめようとしたが、梶が「借金返済で全部使った」と金を独り占めしたため殺したことを認める。下薗は「あんな大金を見せられれば誰だって魔が差す、実はおまえが万馬券を当てたのを知ってた、そいつが600万円を拾ったと届け出てきて『そんなにいらない金ならもらってやる』とせしめようと思った」と言って池田に銃を向けるが亀山が体を張って池田を守り「おまえは道を踏み外したが俺の知っているおまえは間違いなく警察官だった」と説得すると今度は自殺しようとするが来る途中で右京が弾を抜いており自殺もできず逮捕される。
- 池田は右京と亀山に「あの札束が悪魔に見えたのだと思う」と当時の心境を説明。池田がどう償えばいいか聞くと、右京は「急ぐ必要はない、自分が何をしたか考える時間は十分にある」と諭す。
感想／気になる点など
- 雑誌や新聞記事では「今月16日」となっているが、下薗が書いている「拾得物預り書」は「平成17年11月21日」。
- 池田が新聞を見て古谷が殺されたのを知ったのは、翌日以降のはず（新聞には、古谷は「22日午前8時に遺体発見」という記事の隣に、「22日午後3時」に起きた事件に関する記事があった）。その夜美和子が古谷のことを「昨日殺された男」と言っているので、23日ということに。でも、11月23日であれば祝日で、大学で授業があるのか？ ランドセルを背負った小学生は？ 制服を着た柔道部は、部活（試合）の可能性があるので何とも言えないけど。
- 落とし主が現れて、下薗は「昨日交番に来ていたあのおばあちゃん」と言っているが、そうだとすると梶多恵子が殺されたのは24日となるが、翌25日は下薗逮捕の日。それとは食い違うけど雑誌によると梶が殺されたのは25日。でも、その日は「殺人ヒーター」でヨツバ電機に行った日（ヒーターのリコールが発表された日）。
- 雑誌（週刊流言）では、12年前の1000万円拾得は六本木、新聞記事では12年前に目黒？
キャスト
水谷豊：杉下右京
寺脇康文：亀山薫
鈴木砂羽：奥寺美和子
高樹沙耶（益戸育江）：宮部たまき
川原和久：伊丹憲一
山西惇：角田六郎
六角精児：米沢守
山中たかシ（山中崇史）：芹沢慶二
絵沢萠子：梶多恵子
中村友也：池田俊太郎（届け出た大学生）
音尾琢真：下薗司（泉川交番 巡査）
能見達也：新井山宗次（会社員）
犬飼淳治：古谷稔（ヤクの売人）
横山あきお：落とし主と名乗り出た人（2人目）
生木政壽：双葉大学の教授（心理学？）
山内勉：古谷のアパートの大家
菊地由希子：梶多恵子の近所の人？
きくちとめお：600万円盗まれたと届け出た坊主？
志水正義：大木長十郎
三谷悦代：落とし主と名乗り出た人（3人目）
原田文明：落とし主と名乗り出た人（1人目）
久保田龍吉：小松真琴
宮沢大地：所轄の刑事
斉藤かおり：
小森郁子：井上千加（レポーター）
岡田雄：
齋藤真一：
杉山大喜：
兼田康平：
村石麿由登：
主な複数回出演者
- 生木政壽は監察医役で相棒2 第18話「ピルイーター」に出演。
- 山内勉は沙雪とホテルに入ろうとした男役で相棒2 第15話「雪原の殺意」、王子キャブ職員役で相棒3 第12話「予告殺人」に出演。
- 原田文明は前田社長と似た声のホームレス役で相棒3 第8話「誘拐協奏曲」に出演。
ロケ地
| 劇中の場所 | 撮影場所 |
|---|---|
| 神谷警察署 泉川交番 | 神田猿楽町町会詰所 |
| 池田俊太郎が古谷稔に襲われた場所 | 井の頭線が神田川を越える場所 |
| 双葉大学 | 首都大学東京 南大沢キャンパス |
| 警視庁 池田に話を聞いた場所 | 川崎マリエン ホール |
| 神谷署へ向かう途中に通った道 | 議事堂通り |
| 車で通った道 | 十二社通り |
| 梶の家 | プラネアール 江古田1スタジオ |
| 下薗を乗せて大学に向かう途中に通った道 | ふれあい通り |
| 池田が払い戻しをした場所？ | 東京オーヴァル京王閣 |
＜撮影場所ごとのまとめ＞
首都大学東京（南大沢キャンパス）：双葉大学
東京オーヴァル京王閣：池田が払い戻しをした場所？
神田猿楽町町会詰所：神谷警察署 泉川交番
井の頭線が神田川を越える場所：池田俊太郎が古谷稔に襲われた場所
川崎マリエン[HP]：警視庁（池田に話を聞いた場所）
十二社通り：車で通った道
議事堂通り：神谷署へ向かう途中に通った道
プラネアール 江古田1スタジオ[HP]：梶の家
ふれあい通り：下薗を乗せて大学に向かう途中に通った道
コメント